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エルマー・ガントリー/魅せられた男のHKのレビュー・感想・評価

3.3
どんな映画かまったく知りませんでしたが、バート・ランカスターのアカデミー主演男優賞受賞作ということで昔から気になっていた作品。
エルマー・ガントリー(ランカスター)は酒好き女好き口八丁手八丁のやり手セールスマン。
ある町で彼は若く美しい女伝道師に一目惚れしてしまい、自ら手伝いを買って出ます。
その持ち前の話術が功を奏し彼女とともに人気伝道師としてのし上がっていきますが・・・

本作は、たまたま先日観た『タミー・フェイの瞳』の元祖というか、同じくクリスチャン相手の人気伝道師の栄光とその裏側を描いた作品でした。
そのときと同じく感じたのがやはり欧米と日本の宗教観の違いと言うか温度差でしょうか。
欧米では社会奉仕や慈善活動の精神が古くから根付き、布教活動が領土拡大と同じ意味を持つ伝統があるという、フィル友ひゅうどんこさんの『タミー~』の時のコメントを思い出しましたが、私にとってはやはり別世界。
宗教とはさまざまな争いのもとであり、その集団心理は恐ろしいとしか思えないのが私の正直な思い。

笑顔が胡散臭いお調子者セールスマンを絵に描いたようなランカスターはハマリ役。
エルマーが一目惚れする美人伝道師には本当にお美しいジーン・シモンズ(『大いなる西部』『スパルタカス』)。
エルマーを破滅に追い込む過去の女がシャーリー・ジョーンズ(本作でアカデミー助演女優賞受賞)だったのは意外。
ことの顛末を一歩引いて見据える新聞記者に各種西部劇でお馴染みアーサー・ケネディ。
他に歌手のパティ・ペイジや、ディーン・ジャガー(『頭上の敵機』『死亡遊戯』)など。

本作はアカデミー賞では上記2つの他、監督のリチャード・ブルックスが脚色賞も受賞。
作品賞や作曲賞(アンドレ・プレヴィン)もノミネートされた名作ですが、私としてはやっぱりこの宗教観に馴染めないため、主要キャストの競演を楽しむだけの映画でした。
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