預かりマウス

突貫小僧の預かりマウスのレビュー・感想・評価

突貫小僧(1929年製作の映画)
3.5
サイレント映画だが、U-NEXT版は戦後に編集したと思われる音楽とナレーション(倍賞千恵子と寺田農)が入っている。倍賞千恵子なのは最後のクレジットで知ったが、見ていた時は素人かな?と思ってしまった。
これも14分しか残っていないが、『和製喧嘩友達』より明確な短編コメディで、人攫いがテーマだが牧歌的な内容、結末になっている。
人攫いの親分は初期小津作品では嫌味な教授役等が多い坂本武だが、本作では普通の?むさくるしく粗野な、古風なヤクザの親分といった感じで、円形脱毛症なのが印象的。そして日本酒の徳利がいっぱい並んでいて常に飲んでいるらしいのが彼にかかるストレスを感じさせて、依存症気味の自分としては妙な共感を抱く。親分は攫ってきた小僧にロシアパン?を無理やり食わされ、日本酒を徳利ごと飲まされ、の繰り返し。
本作で突貫小僧を演じた青木富夫は、面倒臭い子供のいい味を出している。一発芸としてやるカバの真似も面白い。
また、人攫い役の斎藤達雄は、こういう怪しげなおっさん役がよくはまっている。最後に人攫いが子供達に追われて河原を逃げるシーンで蒲田行進曲が流れる。六郷土手のあたりなのだろうか、自分にも少しゆかりがあるところなので感慨深い。
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