みやび

HANA-BIのみやびのレビュー・感想・評価

HANA-BI(1997年製作の映画)
4.8
とある事件で同僚は半身不随に、そして部下を失った主人公。
子供に先立たれ、借金に苦しみ、最愛の妻の死期も近く、彼は死に場所を探し求める。

全編を通して「死」を描く本作はとにかく静かな映画だ。
余白が多いのだがその静かさが全てを物語っている。
セリフがほとんど無く、主演の北野武の表情の変化もあまりない。
しかし何もかもが伝わってくる。
沈黙の力を見せつけられる。

その分画面は華やか。
鮮やかな色彩と美しい景色。綺麗な花たち。
「死」とは真逆の「生」に近いものを感じる。

久石譲の「死」などとはかけ離れた和らぎのある美しい旋律では人生の尊さを感じることができた。

様々な演出方法で様々な視点から人生について説くという非常にバランスのいい作品。

花が持つ鮮やかな色と、花火の一瞬の華やかさは北野武が思う人生を描いているのだろうか。

枯れ死んだ花にどれだけ水を与えても生き返らないように、人間が花になれるのはほんの一瞬なのかもしれない。
花火が一瞬の輝きのように、人間が華やかに輝けるのは一瞬なのかもしれない。
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