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HANA-BIのGAKUのレビュー・感想・評価

HANA-BI(1997年製作の映画)
4.2
最愛の人を失った二人の元刑事が自分の居場所を見つける話。

やはりこの映画を大きく象徴するのは、北野武演じる西と大杉演じる堀部の二人の描き方だろう。この二人は対であるが、不幸のどん底にいるという事実は同じ。つまりそれは「家族への執着」。堀部の描く絵は彼らの『理想』であり、銀行強盗以降の西夫妻の行動は『理想』に対する『現実』である。彼の絵には男女二人と子どもの存在がある。家族を失った二人にとっての居場所をそれぞれが見つける話。
ラストショットは圧巻。
海岸沿いの奥に位置する少女を眺める西夫妻。そしてその三人を眺める刑事の中村たち。堀部の絵を象徴したラストショットは見事に心打たれた。現実と理想が交錯した時、二発の銃声がこの映画の終わりを告げる。銃声の音が脳裏に焼き付いたまま苦しむ西を救ったのは花火であり、妻の美幸であり、堀部でもあった。北野監督の死生観も伺える見事な作品。
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