nos

HANA-BIのnosのレビュー・感想・評価

HANA-BI(1997年製作の映画)
4.5
主人公 西の静けさと凶暴性には男の背負ってきた苦悩が漂い、亡くした子や死に迫る妻への想いが滲み出る。

序盤から中盤にかけ、ストーリーに拍車を掛ける出来事が淡々と描かれる。
親友 堀部の描く絵の彩りと共に終盤、一気に西の世界が色付いて行く。

男気、愛情、死と隣り合わせの生、シュールな笑いをアクセントに予定調和のラストまで、息が詰まるほど美しいラストシーン。

意外性や奇をてらった演出は少ないが、言葉にしない情や想いといった生来の日本人の美徳を滲み出し、温かさに包まれている。

あらすじだけ見るとめちゃくちゃドラマチックなんだけど、淡々と描く事で非常に良い温度感で、監督北野の美意識に打ちのめされた心に沁みる名作。
nos

nos