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アンネの追憶のTSのレビュー・感想・評価

アンネの追憶(2009年製作の映画)
3.3
【悪くはないが少し甘い?】
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監督:アルベルト・ネグリン
製作国:イタリア
ジャンル:戦争
収録時間:100分
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最近週一くらいでナチス、特にアウシュヴィッツの映画を見てるような気もしますが、今作はその強制収容所におけるアンネフランクを描いたものです。実際アンネフランクはベルゲンベルゼン収容所で亡くなったそうですが、第三者からみるとどこであれ「地獄絵図」です。

本棚の後ろに秘密の入り口を設けて隠れながら暮らしていたフランク一家は有名です。そこで逮捕され収容所に送還、死ぬまでを描く作品です。主人公はアンネフランクなのですが、回想という点では、生き残った父のオットーフランクも主人公であると思われます。

最初の華やかなショットから一転して絶望のショットに変わるので、この手の作品に慣れていないと大変ショッキングかと思われます。しかし、『灰の記憶』ほど残酷な描写はないので、耐性をつけるならば、今作はまだマシかもしれません。

意外なのが、兵士たちの甘さ。いや、普通に見たら極悪なのですが、今までの強制収容所系の映画と比べるとかなり甘い。果たしてどちらが真の姿だったのでしょうか。悪いに変わりはありませんが、まだ今作のような感じだったのを願いたいです。
また、知識人の囚人から学問を教わる兵士の描写も興味深かったです。なるほど、使える能力は搾り出すということですか。不要になれば処分になるという点は恐ろしいですが。

僕としては、アンネフランクの絶望をもう少し描いてほしかったです。史実としては収容所で死亡しているのですが、アンネフランクが最後に映ったシーンがどことなく微妙。結局は綺麗な俳優さんがしているので、少し汚れさせた程度にしか見えませんでした。否、実際はもっと醜くなっていたでしょう。

こういう作品には「本気度」をより求めたいのです。作るならば中途半端なことはあまりしないで欲しい。それが、こういう題材に対する最大限の「敬意」だからです。と、ここまで言いつつも悪くはなかったです。ただ、もう少しリアリティが欲しかったなというところです。

とは言え、流石にオットーフランクの絶望は伝わりました。なんで自分が生きて、妻や娘が死ななければならないのか?人生とは本当に無情です。この叫ばなく静かに涙を流す姿には感動させられました。

ちなみにアンネの日記は、現在世界記憶遺産に登録されています。
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