大人の監督が、何故ここまで繊細に子どもの心を描けるんだろう。誰もが幼い頃に体験したであろう〈見えないもの〉との幻想と想像の中での〈接触〉。でも、大人に成長してる私達は、その光景に何か懐かしいような、子ども独特の世界に心を寄せることはできても、もう共感するとこは出来ない。
だからとてもアナが愛おしく感じる。
「子どもは純粋だなぁ…」と。またこのアナ役のアナの可愛さが宇宙級であり、まるで演技でないような子どもの〈素〉をうまく出していてすごい。
描き方や表現方法は全く違うが、日本で言えば、「となりのトトロ」なのかな。子どもたちには〈精霊〉が見えているという共通点でとても近いように思う。
ただ、決定的に違うのが、「リアルさ」という点。私たちはトトロで一緒にメイちゃんたちの世界を楽しめるが、この作品ではそうはならず、私たちは一定の距離から眺めるだけ。だからより〈現実味〉を帯びる。
アナがラストで真夜中に窓を開け放ち、精霊たちにそっと呼びかけるシーン。
"Soy Anna, soy Anna..."
(It's me, Anna. It's me,Anna)
の囁きがしみるほど素晴らしくて、思わずアナを抱きしめたくなった。