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ミツバチのささやきのKKのレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.2
どんなに言葉を連ねてもこの映画を表現することはできない。

この映画がどんな映画かを知るためには、観るしかない。


観終わった後に深い深いため息をついた。なんとも言えない余韻と感情のうねりが自分の中に燻っていた。

当時のスペイン情勢や、どんな映画なのかという前情報も全く無しで観た。
それでも、他の映画とは違う「何か」を明らかに感じた。


田舎町
映画を観る子供たちの顔がほんとに凄い。当時の田舎の映画を見たことがない子供が映画を観たら、まさにそんな表情になるんだろうなって表情をしている。
こんなにも自然で本物の演技は見たことがない。

アナの大きくて丸い目、疑いを知らないその目は、「純粋」という言葉以外には表現できない。

言葉なくとも、目だけで感情の全てを表現出来る俳優を他に知らない。
それほどまでに圧倒的な存在感だった。


当時のスペインの情勢。言いたいことを言えない社会の中で生まれた、もしかしたら伝えたいメッセージは他にあるのかもしれないけど、一つの作品としありえないほどのパワーをもった作品だった。

伝えたい強いメッセージがあったからこそここまでの作品になったのかもしれない。

「ミツバチのささやき」狭い世界の中で生きていくしかない我々は、カゴの中に囚われているミツバチと同じなのではないか。

「なんのために生きるのか、どうやって生きていくのか」
人が自由に生きるためには常に自分に問いかけていかなければならない問いなのかもしれない。
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