近本光司

ミツバチのささやきの近本光司のレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.5
生まれてはじめて見聞きするものごとの数々。フィルム缶を積んだトラックに乗ってやってくる巡業映画。『フランケンシュタイン』で殺されてしまう少女の姿。汽車の接近を告げるレールの振動。指先の傷から滲む血で差す口紅。父の靴に踏みつけられた猛毒のマッシュルーム。小屋に横たわる傷ついた男。オルゴール式の銀のペンダント。草原でひとり過ごす一夜。わたしたちはアナの眼差し(あの何の混じり気もない瞳!)をつうじて、子どもにとっての世界の巨きさや神秘の感じを思いだす!