Blake1757

ミツバチのささやきのBlake1757のレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.0
ビクトル・エリセの新作が公開されるとのことで、“予習”のつもりでリマスター版のDVDで鑑賞。
改めて言うまでもないが、これぞ「映画」であり、別の言い方をすれば「映画」という表現形式以外では決して表現できない作品。
この作品の「あらすじ」は意味をなさないし、これを「小説」という形式で表現することも想像ができない。強いて言えば、すぐれた詩人ならばこの「お話」を「詩」という形で表現できるのかもしれない。但し念のため言っておくと、私は、この作品が「詩的な映画」であるとか、ビクトル・エリセを「映像の詩人」などと陳腐に形容したいわけではない。
はじめからおしまいまで素晴らしいショットのつらなりで、例えば、冒頭近くの母親の乗る自転車と蒸気機関車の交差、村はずれの小屋でのロングショットの長回し、たびたびクロースアップされるアンの表情など、どれも圧倒的な強度だった。それらのショットからなる(演劇で言うところの)ヴィニエットを積み重ねていくような、語らずに見せていく物語も見事だった。
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