Asino

ミツバチのささやきのAsinoのレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.2
日本初公開時(でも本国から10年以上あと)に六本木で見たくちです。見たことは覚えています、が、なんせ高校生だったので、内容が理解できていたとは思えない。
それから何度か見返していますが、改めて「瞳をとじて」の前にスクリーンで。

改めて見ると、難しい話はさておいて、「映画を見ること」の純粋な楽しさと、幼心にそれがどれだけ強烈な経験となりうるか、という話だなぁと。
怖かったり興奮しすぎたりして眠れなくなるような強烈な体験というのは、その後中身を忘れてしまったとしても、成長過程でとても大事なことなんじゃないかと思うのだけれど。
見えなくても話しかけられる精霊、というのは、つまりは「心を揺り動かされた記憶」みたいなものなのかもしれない、とぼんやり思った。
フランケンシュタインの恐ろしい姿や、確かにいたのに消えてしまった若者や、死んだと思ったらけろりと笑って現れる姉の笑みは、きっと誰にも奪うことはできず、彼女の中にしっかり残るのだろうとわかるから。

たぶん私に汲み取れているのは、この映画に込められたメッセージの一部にすぎないのだろうけど、だからこそ見るたびに発見がある。
お母さんが手紙を書いては人知れず送っていた相手は誰なのかとか、ミツバチが象徴するものはなんなのかとか。

終わってぼんやり考えているうちにすぐ「瞳をとじて」の上映時間になってしまったので、もう少し間を空けてから見れば良かった(笑)
あちらはあちらでもっとすごく饒舌に情報量の多い映画だったので頭がいっぱいになっちゃって。
でもこれはまた何年かしたら見直すだろうから、そのとき考えればいいのかもしれない。
Asino

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