いやあ、ビクトル・エリセ監督、31年ぶりの新作には、驚いた。
そして、前評判から『ミツバチのささやき』との連なりを示唆する評を散見したので、こちらの方もかなーり久しぶりに再鑑賞。
今、改めて、こんなに深淵な物語だったっけ… と、驚いてしまった。(ハタチそこそこの時に観たのだけれど、その頃の自分の感じとる力の脆弱さよ… )
特に、仲の良いアナとイサベルが映画『フランケンシュタイン』に感化されて、化け物やら妖精の話しに二人で夢中になるシーンに、当時は惹きつけられたのだと思う。
それが、久しぶりに観た印象は、こんなにも政治的に深いテーマを醸した作品だったか、と驚いている。
アナがひょんなことから出会い、あの小さな少女なりに献身的に匿ってあげていた一人の地下活動家と思しき男との突然の別れは、そのうっすら見え隠れする母親とのバックグラウンドをも考えると、切なすぎる。
「わたしはアナよ。」
完全に塞ぎ込んでしまったアナが、ラストのシーンでそう言って呼び出そうとしている相手が誰なのかと考えると、胸が締めつけられるような思いでいっぱいになった。