朔

ミツバチのささやきの朔のレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.5
ぴん、とはったような空気が、そこかしこにただよう。いのちの気配。
どうか、少女、そのあやうさもはかなさもせつなさも、うつくしさも、すべて、わすれたくない、わすれないでいて。
絵画的な構図が美しい映像。
加えて、光の演出(それによってうまれる影の効果も含む)がとても印象的。残像が焼きつく。
うつすことと、うつさないことと、ひとつひとつ、その選択の意味を考える。
この映画の魅力の、そのすべてを理解できていないであろうことが、いまはとにかく、もどかしくてたまらない。
アナの、こぼれおちそうなほどのおおきなひとみが、うるうるとしたひかりをやどすそのひとみが、まっすぐ、こころにふれる。
ことばなどなくとも、伝わるものは、たしかにあるのだと思う。
ぼうっとしてしまうような、エンディングがくるしい。
映画の中のできごとは全部ウソだから。だから、
朔