ヤンヌ

ミツバチのささやきのヤンヌのレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.9
久しぶりに観たが、映画的語りが本当に丁寧でまた大好きになってしまった。劇伴が意外にも鳴り響くタイプの作品だったのかという驚きもあったけど、ささやきで始まりささやきで終わる密やかな童話は、観客ひとりひとりの耳元に無数の蜂の飛び回る羽音を鳴らし続ける。目に見えない精霊に耳を凝らし続けるアナ、しかし決して世界から目を逸らさないくっきりとしたまん丸の眼をいつまでも眺めていたい。線路に耳をあて、列車の到来を待つアナにイザベルがアナの名を叫び、アナと線路を引き剥がすことに成功する完璧なシーンにおいて、列車の運動を損なわせずに切り返すキャメラの運動神経に思わず感嘆の声をあげてしまいそうになった。
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