がんびーの

ミツバチのささやきのがんびーののレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.5
映画とは隠喩そのもの。余計なものを全て削ぎ落とした上で視聴者に大切なことを伝える。共通して傑作になるような映画は答えを提示していない。受取手に多くのものを与え過ぎず、映像、音楽、数少ない台詞だけで視聴者の創造性を掻き立てる。
あのカットは何を表現していたの?この時の表情は?この曖昧な台詞は?この音楽は?言い出したらきりがないくらい映画には多くの引き出しが存在する。それは監督が意図的に用意したものもあれば、視聴者の想像の下で創られたものも。

良ければ良いほど観終わった後の余韻は長い。心の中で整理しなきゃだから。映画終了と共に訪れる感じた事のないカタルシス。それをゆっくりと時間をかけて消化していく。その時間が私は堪らなく幸せ。

今作はスペインの独裁政権が終わる2年前の作品。当時は政治的な内容の作品が世に出回らないように、検問的なものに映画を通さなければならなかった。当然今作もその検問を掻い潜ってきたわけなのだが、その影響もあり当時のスペイン状況の隠喩的表現がかなり多いと言われている。この隠喩を一回観ただけで全て理解できる人は早々にいないと思うが…笑

まあとりあえず観て。

精霊の存在を信じる幼い少女アナはその大きな瞳でじっとこの世界を見つめている。少女の目線で内戦終結直後のスペインの農村部を静かに描いたビクトル・エリセ監督の長編映画第1作目。
がんびーの

がんびーの