荒川自転車乃介

ダウンタウンヒーローズの荒川自転車乃介のレビュー・感想・評価

ダウンタウンヒーローズ(1988年製作の映画)
4.3
旧制高校が舞台の青春物語。同名の原作もあるが、舞台が旧制松山高校という点は同じだが、内容はオリジナルストーリーに近い。しかし、映画は映画で、面白く出来ていて、成功している。
どなたかがレビューで大学生かと思ったと書いていたが、旧制高校は、現在の大学の1、2年生に近い。戦前から戦後すぐの学校制度では、小学校6年、中学が5年。それぞれ、1年前倒しで受験することができた。だから、優秀な生徒は、高校には15歳くらいで入れたが、中には30歳くらいで入ってくる生徒もいたという(旧制第一高校の話。加藤周一著『羊の歌』による)。だから、この映画で、高校生役でおじさんみたいな生徒がたくさん出てくるが、それは間違ってはいない。
この映画はストーリーもよくできているが、若い役者が生き生きと演じていることも特筆ものだ。
中村芝翫(当時は橋之助)、尾身としのり、柳葉敏郎、杉本哲太らの初々しさ。薬師丸ひろ子の可憐さ、石田えりの純情さ。数え上げればキリがない。
30年以上前の映画だが、見て損はない。
この映画を楽しんで見た人には、北杜夫小説『どくとるマンボウ青春記』を勧めたい。旧制高校の馬鹿馬鹿しくて、愛おしい日々が描かれている。