このレビューはネタバレを含みます
貴族版ゴッドファーザーだった。
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(以下感想)
移り変わる時代の中で自分を曲げることを拒む潔さ。ここで自分のイズムを周囲に押しつけてしまうとただの頑固者になってしまうが、サリーナ公爵は世の変化そのものは柔軟に受け入れ、そのうえで来たる時代に相応しい人材を支える寛容さがあった。なんて気品に溢れているんだろう。
だから一層、舞踏会におけるサリーナの姿は悲痛だった。たった一滴の涙が、抗うことのできない死の影を漂わせる。
『ゴッド・ファーザー』ってマフィア版の山猫なんじゃないか。子を想う慈愛と、先立つ運命を背負う哀しみ。実際、サリーナ公爵役には当初マーロン・ブランドに白羽の矢が立っていたというし、ドン・カロの農場管理人という立場はまさにマフィアの前身となるものだった。
「現状を肯定するものに向上は望めぬ。自己満足は悲惨よりも強い」