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春婦傳/春婦伝
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目次

『春婦傳/春婦伝』に投稿された感想・評価

5月24日は昨年逝去された鈴木清順監督のご生誕日。
存命ならば95歳に。

田村泰次郎原作、鈴木清順監督、そして野川由美子のスクリーンデビュー作である『肉体の門』から一年後、
再び田村泰次郎原作の『春婦伝』を鈴木・野川コンビで映画化した反戦映画。

原作を同じくして池部良・李香蘭主演作『暁の脱走』のリメイクともされていますが、
ここではしっかりと従軍慰安婦の熱烈な情愛をグロテスクなまでに表現しているのが特徴であります。

大東亜戦争の最中、八路軍の脅威に晒される中国北部の日本軍駐屯地を舞台に、
慰安婦の春美と生真面目な兵士・三上が極限的なラブストーリーを展開。

軍の規律や面目だけが乱行し、慰安婦の人権すら希薄な状況の中で、ひたすら人間らしい生き方を模索する彼らの暗夜行路に救いの光は射すのか。

石仏洞窟や合成を駆使して中国の町を完全再現した木村威夫の美術、
見事なカメラワークで圧倒させる清純美学の真髄。
激しい雨、吹き荒ぶ爆風、爆撃と銃撃の砲火を疾走する野川由美子、日本刀を振りかざす上官をじっと見つめる川地民夫の眼差し。

清純監督自らの従軍経験からも「戦争は"残酷"と言うよりはむしろ"滑稽"だった」と語っていたように、
暗いストーリーからはどこか底抜けた生気が溢れており、一方で全体には大きな虚無感が渦巻きます。

歴史修正に躍起になる文化人もいたり、我々でさえ教育現場では詳細な歴史認識にすら至ってなかったりするけど、
先人の残した意志に触れられる"映画"は今や潰えることのない重要な歴史文化の一つでもあるのです。
netfilms

netfilmsの感想・評価

3.7
 女はデコボコとした焦土の上を、土を踏みしめながらたった1人でひたすらに歩く。時に土に足を取られても女は何度でも立ち上がり、力強く歩を進めるのだ。後ろを振り返るとそこには荒れ果てた焦土と乾いた空気に包まれている。中国北部の大荒野を、トラックに乗せられて慰安婦の一団が日本軍の基地まで運ばれている。その中には、天津の売春婦宿にいた春美(野川由美子)の姿があった。幌の付いたトラックの荷台からぼんやりと荒野を眺めながら数十キロ走る女はかつての愛人の姿を想い、呪った。春美は男を忘れるため、自分からこの前線基地となる慰安所を希望したのだった。更に険しい山間地にトラックがやって来た時、彼女は三上上等兵(川地民夫)の美しい瞳を凝視し何かを感じ取った。やがて慰安所に着いたその日から、彼女たち7名は1000人もの兵士の性の相手をしなければならなかった。早速その夜、彼女を抱いた成田(玉川伊佐男)という男は粗暴で、天津で弄ばれた嫌な記憶がフラッシュ・バックした。彼女は成田の部下の三上を愛し、彼の為に全てを捧げようと心に誓った。

 『肉体の門』の原作者・田村泰次郎の物語は、娼婦たちの視点から残酷な戦争の爪痕を描いた作品である。第二次世界大戦の最中、中国北部の北支戦線に従軍した兵士たちと、所謂日本人慰安婦との交流を描く。谷口千吉の『暁の脱走』(脚本は黒澤明)をリメイクした物語は単なるリメイクに留まらず、ここでも清順独自の奇抜な映像世界を作り出す。天津時代の愛に破れた日々をたった1シークエンス上で描いたかと思えば、憎き成田中尉(玉川伊佐男)の映像が紙に複写され、くしゃくしゃにされて放り投げられる。『肉体の門』が緑、赤、黄、紫などのカラフルな色彩と日焼けした小麦色の肌の生々しい対比がどぎつさを感じさせたのに対し、今作は折り目正しいモノクロームの荒野の中に、荒涼とした風を吹かせることで、戦争の虚しさや悲惨さを強調するのだ。

 今作でも男に身体を委ねる慰安婦を演じた野川由美子の金切り声や女の絶叫が印象的だが、『探偵事務所23 くたばれ悪党ども』や『野獣の青春』で狂気を宿した若者像を力強く演じていた川地民夫の暴発寸前の狂気が凄まじい。軍隊の掟に縛られ、インテリの宇野一等兵(加地健太郎)のように精神的自由を謳歌出来ない三上の姿は文字通り、軍国主義と愛する女との間で木っ端微塵に引き裂かれていく他ない。横移動する女の彷徨とクライマックスのストップ・モーションのカタルシス。ここでは『暁の脱走』のメロドラマ的な甘さに異を唱えるかのように、鈴木清順の戦争映画はいつだって戦争の不毛さをこれでもかと絶望的に描き切るのだ。
鈴木清順監督が描いた日中戦争。反戦と位置付けているのだけれど、メロドラマ色が濃いぃです。舞台は砂漠に近い山西省。時おり砂嵐が襲う、雲崗石窟のある町。慰安婦ハルミ(野川由美子)と若い兵隊ミカミ(川地民生)の悲恋というより、兵士が逃げ腰で、ハルミの情念が凄まじい。それは激しい動きとストップモーションのカメラワーク、疾走感に表れています。

とにかく激しくパワフルなハルミ。ちょっと疲れてしまいました。

情念は弾より速く、砂塵より強く、奇跡がたびたび起こります。

集中力が切れたのは、ハルミを自分専用と思っている横柄な上官役の玉川伊佐男さんがどうしてもあの有名人にしか見えなくなり💦、ミカミ役の川地民生さんが「海底からきた女」の鱶女に一方的にアプローチされる役と重なってかわいそうになり、集中できなくなりました。

原作は朝鮮人慰安婦が題材の田村泰次郎の1947年の同名小説。GHQから発禁処分にされました。

1950年に池辺良主役で「暁の脱走」として映画化されましたが、GHQの検閲で朝鮮人慰安婦から日本人の慰問団の歌手(李香蘭が演じています)に変更させられています。

1965年の本作は日本人の恋人に捨てられて、自暴自棄になった日本人歌手が志願して慰安婦となる設定です。

若い兵士役ゲーリー・クーパーと酒場の歌手役のマレーネ・ディートリッヒの「モロッコ」(1930年)を思い出すシチュエーションでした。

野川由美子さんはとても美しいのですが、押しが強い演技で悲恋に見えず、李香蘭&池辺良の方がしっとりしていそうです。

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