三隅炎雄

日本暴力団 組長と刺客の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

日本暴力団 組長と刺客(1969年製作の映画)
3.8
京都の市長選挙を背景に、京都やくざと勢力拡大に乗り込んできた大阪やくざの闘いを描く。鶴田浩二の暴力団ものと言っても、これはほとんど着流し任侠映画と変わらない古典的な筋なのだが、そこを作り手は回想を多用し時間軸を弄った珍しく複雑な構成をとることで、古風な美学・美意識から少しでも距離を起こうとしているようだ。この構成はフィルム・ノワールあたりが手本なのだろう。鶴田の最期は美学からは遠い突き放した無惨な様で、かっこよい死に様だけは見せたくない作り手の姿勢は一貫している。
三隅炎雄

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