はーまん

チーズとうじ虫のはーまんのレビュー・感想・評価

チーズとうじ虫(2005年製作の映画)
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生まれて死ぬこと。
未来はわからないと言えど、死ぬまでは生きていること、最後は死ぬことは確実に決まっている。
生きると死ぬが重い鉛の砂時計のように常に私の中にある。
ただ、本作を観ているとその鉛の砂が少しだけ軽くなった。なぜ軽くなったのかはうまく言葉にできないけれど。

蝉が死ぬ、ウジ虫が死ぬ、花が枯れる、人が死ぬ。
畑で野菜を収穫する。耕運機で耕して次の年に向けてまた野菜の育てる。秋桜が咲く。次の年の秋もまた秋桜が咲く。
特別なことではないのだ。

それでも朝と夕は寂しい。撮ったビデオを見返す。動いている、歯磨きをしている。

お母さんが、ぼんと置いた札束とホンダの新車。本当にかっこよかった。

世界が終わることよりも母がいなくなることが恐かった子供が大人になる。
たまに母と父を写真に撮る。
生きることで死に向かう。特別なことではないのに、写真を撮らないと耐えられなくなるくらい特別に感じる瞬間があるのだ。
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