キャンバスと母、カメラと私。
カメラを回したとしても奇跡は起こらず、小さな夢も叶えてやれなかった。
祖母と母と私の3人の日常が断たれ、祖母と私の日常になったとき、ただただカメラに映る母を眺める二人だった。喪失感。
しかし、その死とカメラに記録された映像を見つめる祖母の表情には、たしかに母がいた頃の日常が「幸福」だったのだと言葉なしに語っている。
そんな機微に触れられることは、存在の喪失があったから。喪失から生まれた天使たちの映画。
魅了されてあっという間の90分だった、大好きな映画と巡り会えた。