じょり

善き人のためのソナタのじょりのレビュー・感想・評価

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)
4.6
①○○も鑑賞した人もEDで救われて善き人となり得る度 100%
②多様なショット(構図)駆使度 ★★★★★
③※ネタバレのためコメ欄でm(_ _)m

この先何度見ても、あの「普通の答え」に泣かされるであろうラスト。
国家に翻弄される人々を描く作品は数多く存在しますが、本作のような余韻は稀有なんじゃないでしょうか。

ある芸術家のカップルを徹底して監視するヴィースラーを演じる主演U.ミューエが、当時反体制運動に従事し実際に秘密警察シュタージの監視対象だったのを知り驚愕しました。彼の、他人には容易に知り難い胸にしまい込んだ思いが、派手さはなくても痛いほど伝わってくる静けさを湛えた会心の演技をさせたんだと解釈しております。

個人的には高まってしまうバーのシーンが好きです。あの辺からグイグイきますし。またシャツやインテリアがかっこいいんですが、何よりもセリフに頼らない心の変遷の描写が見事な名作でした。

本作のように、自国の過去の恥について面と向かった映画を現代でも撮れるドイツは極めて進歩的だと感じ、羨ましいというか情けないというか、内容以外の部分では複雑な感情を抱かざるを得ず残念に思いました。
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