さすらい農場

善き人のためのソナタのさすらい農場のレビュー・感想・評価

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)
4.1
[この曲を一度でも本気で聴いたなら、悪人ではいられない]
〜1984年 東ベルリン
国家保安省の監視下で、
10万人の協力者と20万人の密告者が、
全てを知ろうとする独裁政権を支えていた。〜
反国家思想を取り締まる為に、盗聴、尋問、拷問が平然と行われる社会主義国家の恐ろしさ。
[特権]は人の心を腐らせる。

冷酷な局員が反国家嫌疑者の盗聴を続ける中で、彼らの[人間的な苦悩]に触れ、次第に感化されていく。
従来の価値観が崩れ葛藤する
[国家]に忠誠を誓った男…
国家という正義(ルールを守る)を信じる者は、明確で絶対的な[掟]に従う事で、いつしか[人間性]を失う危険性を孕んでいる。
非人道的な監視社会に翻弄された人々の悲劇が[自由の尊さ]を訴える。
全ての人の中に眠る[善意]を問う傑作。