みかん

善き人のためのソナタのみかんのレビュー・感想・評価

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)
3.5
1984年東ドイツ。国家保安局大尉が、劇作家とその恋人の2人が反体制的であるという証拠を掴むため、盗聴器を仕掛けて監視を始める。東西ドイツ統一後も、長い間タブーとされていた"監視国家”の真実を描いた社会派ヒューマンドラマ。

自宅の留守中に盗聴器を張り巡らされ、電話はもちろん家の中での会話も全部24時間筒抜け状態で監視される恐怖に慄きました。

反体制的な言動をしようものなら、突然国家保安省に連行されたり、家族にも危険が及んだりと、常に警戒していないと生活出来ない息苦しさ。

規制や粛清される体制下で、芸術家たちの自由な表現を奪われた嘆きと悲痛を目の当たりにして、冷徹な仕事人間と思ってた主人公ヴィースラーの、良心の葛藤にハラハラしました。

芸術家たちの信念に心を惹かれ、私欲のために権利を振りかざす保安省のトップへの疑念などで揺り動かされ、バレるかバレないか、バラすのかバラさないのかのスリルで最後まで予想がつきませんでした。

ラストは心打たれました。

自分の良心に従い、正しいと思ったことをやり抜く勇気。

しかし、実際正しいことをした現実は、残酷で厳しかったりする。

しかし、それが人間の正義に基づく真に正しい行いだったとしたら、時間や然るべき人間が必ず証明してくれるはずなんだと思いました。


★ 1984年東ベルリン。東西冷戦の中、強固な共産主義体制を確立しており、反体制派の人間を取り締まる国家保安局の大尉ヴィースラーは、劇作家ドライマンとその恋人で舞台女優のクリスタの反体制的であるという証拠を掴む任務が与えられる。

2人の家に盗聴器を仕掛けて監視を始めるが、次第に彼らの思想に魅入られていき、、。
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