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日の名残りのTskのレビュー・感想・評価

日の名残り(1993年製作の映画)
3.0
ネトフリに公開期限が迫っていると急かされて視聴。

ナチ擁護派貴族を主人に持つ執事とメイド長とのロマンス・・とあらすじだけを見て見始めたのでなんとも平坦に進む物語に少し肩透かし。
閉鎖された世界と主人に仕える堅い価値観の中で世界に目を向ける、自分の心に関心を持つというのが当時のスティーブンさんには出来なかったのでしょうね。
少し極端かもしれませんが「この世界の片隅に」のすずさんを思い出しました。意思や感情がないわけではないけれどこうするのが当たり前、なんとなく静かに自分の意思が削ぎ落とされているそんな時代の空気感を感じました。

現在に時間軸が戻り、自分の過去を隠さないといけない境遇、かつての想い人ともうと主に歩めないこと。
黄昏時が一番綺麗という言葉、なんて皮肉で残酷なことを言うのだろうと思いましたが、最後新しい主人のもと少し柔らかく生きているスティーブンさんを見ていると彼の黄昏時はこれから彼がつくっていくものなのだなと思えて希望が持てました。
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