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日の名残りのmayumayuのレビュー・感想・評価

日の名残り(1993年製作の映画)
3.8
淡々としています。
主人公の執事、スティーブンスが、実に自己を抑制して生きているからなのでしょう。

イギリスの由緒ある貴族の館だったダーリントンホール。
戦後主人が変わった後も変わらず務める執事の現在と、第二次世界大戦中の過去が行きつ戻りつ描かれます。
ずっと気になってたけど、こんな前の映画だったんだ。
クリストファー・リーブが元気で、ヒュー・グラントやエマ・トンプソンが若い。きれい。

本当に、自己を表現しない。感情を出さず仕事をするスティーブンス。ずっと傍観し、慕っていた人を「知らない」と言うようになった後悔すら押し隠して。
それでも時折滲み出す感情。アンソニー・ホプキンスはこんなたたずまいも出せるんだ、すごいな。
ちなみに若いカップルよりもずっとずっと恥じらい方が可愛らしい。

一度すれ違った人生、そのまま二度と重ならない事もある。
現代とは交通手段も連絡手段も違うから、「もう二度と会うことはないでしょう、お会いできてよかった」の重み。つないだ手が離れるところ、泣き顔、がとても心に残りました。

ヒュー演じる若いカーディナルが、いつも微かな執事の心の揺れに気づいて気遣うのがちょっと好きでした。
エマ・トンプソンが魅力的でした。

ストーリーが面白いとかではないので、娘とは見ませんでしたが、じわりと来る映画です。
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