桃子

フランケンシュタインの花嫁の桃子のレビュー・感想・評価

4.2
「商売上手」

前作「フランケシュタイン」を見たあと、続編も見たくて見たくて見たくて悶々としていた。あの手この手を駆使してようやく見られた本作、期待通りの素晴らしい映画だった!
原作者のメアリー・シェリーは続編など書いていない。でも映画はなんでもありだから、続編を作ってしまった。映画の冒頭、メアリー本人を登場させて「続編があるのよ」と語らせるのである。実にうまい方法だ。Wikiによると「ユニバーサルは1931年、前作『フランケンシュタイン』試写会の時点で続編の製作を検討。ヘンリー・フランケンシュタインが続編にも出られるよう、前作のエンディングを変更した」とある。商売が上手~~~(笑)
風車小屋でやっつけられたはずのモンスターも、フランケンシュタイン博士も、実はちゃんと生きていた。たしかに、このメイン2人がいないのでは続編はありえない。ご都合主義と言ってしまえばそれまでなんだけれど、見る側としては続きが見たいから許せてしまう。とにかく「…の花嫁」というタイトルの威力ときたら!
で、どんなお嫁さんなのかと息を凝らして見ていると、すばらしい演技力の迫力ある女優さんが演じていた。鑑賞後、速攻で調べたら「情婦」に出てきた口うるさい看護婦さんだった。あの女優さんの若い頃の出世作だったのか!!
エルザ・ランチェスター。彼女はメアリー・シェリーと花嫁モンスターの二役を演じている。前者は冒頭にちらっと出てくるだけでたいしたことはないのだが、モンスターは強烈なインパクトである。独特な動きと凄まじいまでの目力が圧巻だ。ボリス・カーロフも影が薄くなってしまうくらいの存在感だ。タイトルロールに相応しい、ぶっちぎりの演技である。
花嫁モンスターが奇声を発するシーンは、ランチェスターが白鳥の鳴き声を参考に考案したそうだ。たしかに白鳥の声は姿に似合わず凄い声だが、よく気が付いたものだ。
プレトリアス博士という新顔が登場する。この役については、当初ベラ・ルゴシやクロード・レインズが検討されていたのだとか。クロード・レインズの方がよかったのに残念だ。アーネスト・セジガーのために特別に作られたという噂もあるそうな。映画業界にはいろいろアヤシイ裏が多そう…
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