うみぼうず

彼女が消えた浜辺のうみぼうずのレビュー・感想・評価

彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)
4.0
観ていてイライラする場面が多いということは監督の術中にハマっているんだろうなと思う。特にセピデーとショーレで、細かな嘘が入ってきて何が真実か嘘か混乱させにくる。
虚言や冗談や軽口など、発する人の意図が見える理解できるのはキャラクターが丁寧に作られているからだと思う。セピデーは周囲の為エリの為と嘘を重ねて、イラン女性にとっての婚約の重要性を示しているんだろうけども誰かの為=幸せになるとは限らない。
ショーレはもっと分かりやすく自分を棚に上げ責任転嫁するのが得意で、ただ自分と自分の家族が拠り所であり守るものという考えもあるのだろうが終始イライラさせられる。かわいらしいはずの子ども達にさえ刺々しい感情を持ってしまう。

始まって人物の相関図を頭の中に描くのに時間がかかるけど、分かってくると個々人のキャラはしっかり立っていてセリフも少ないのにさすが。
脚本としてものすごい急展開があるわけではないけど、静かな中での緊迫感ある動きやや人物の心象を表したかのようなカメラワークは好み。特に画面の奥行を感じた。

この監督作品何作か観たけど今のところ一番好きな作品になりました。あとエリ役の人は『美しい都市』から引き続き素敵でした。
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