イランの映画監督、アスガー・ファルハディの出世作。今作でベルリン映画祭の監督賞に当たる銀熊賞を獲得した。
すごくざっくり言うと、ファルハディ流の厭世論ですね。自分以外の人間(家族も含まれる)と付き合うのが嫌で嫌で仕方ない。人生の何もかもにうんざりしている。主人公のエリをフィルターにして、ファルハディは私たちに「人間なんていなくなればいいと思わないか?」問うてくる。「人生は素晴らしいんだ!とにかく生きろ!死ぬまで生きろ!」という、半ばパワハラまがいの精神論系ヒューマンドラマとは対極にある作品だ。
「別離」と同様に、あんまり内容に触れすぎると爆弾を踏むので、このへんで。それにしても、イスラムの映画はエネルギッシュですね。