ぱりぱり

オレの心は負けてない 在日朝鮮人「慰安婦」宋神道のたたかいのぱりぱりのレビュー・感想・評価

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慰安婦問題はメディアでは外交問題として扱われるばかりで、一人一人の経験など全く知らなかったけれど、この作品は、というか宋さんは政治を越える存在だった。
どんな主義主張の人が見ても絶対に心動かされるドキュメンタリーだと思う。

記者に被害者らしくないと言われるような喧嘩腰で、かといって同情されるのを嫌う宋さん

初めて関係をもった軍人についてと中国に残した二人の子供について聞かれると、絶対にそれについて答えずに、話を逸らしてしまう
初めて相手をした軍人について聞かれた時には「そんな昔のこと覚えてるわけないだろバカ」と答える

裁判を起こすと決めてから、チマチョゴリを贈られると「オレは日本人なんだから、こんなの着ない」

講演をする時は観客にどう思ったかを必ず聞く。
特に、元日本兵がいると、とても喜んで、時には涙ぐみながら話し込む
一方で自分が慰安婦になった年よりも若い女の子たちに学校で講演するときは、聞いてくれるか、分かってくれるか不安で、突然泣いてしまったり

10年に及ぶ裁判だったけど、宋さんの明るさとガッツに本当に周りの人も救われただろうし、宋さんの鋼で武装したような人柄も裁判のための活動や講演で少しずつ柔らかくなっていくのを見てこっちまで勇気づけられる

どんな社会問題もやっぱり一人一人の声を聞いて初めて知ってると言えるんだなと実感

宋さんは今村昌平監督の作品に出てくるような女性だなとも思った