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ジュリー&ジュリアのmofaのネタバレレビュー・内容・結末

ジュリー&ジュリア(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

【女子は必見だと思う】

過去のジュリアと、現在のジュリーが交差しながら、物語はすすんでいく。
 ジュリアが手掛けたフランス料理のレシピ本を、現在のジュリーが実践していくというお話。

 個人的には、この映画が大好き。
 
ジュリーが、どうして、レシピ実践という計画をすることになったのか・・・という過程が、とても、気持ちがわかるのだ。
 
 取り柄もなく、何事も長続きしないというジュリー。
 目標もなく、ただ毎日を過ごしている。
何かが足りない。
このままでいいのか・・・?という曖昧な不安。

 そんな彼女が、自分の中途半端に誇れる「料理」と「文章力」でもって、

何かを成し遂げようとする。

 何かを成し遂げられたら、自分のなにかが変わるかもしれない・・・
自分への期待と、挑戦。
 それだけでなはなく、この計画が頓挫してしまった時の、
失望感・挫折感の大きさをも、彼女は抱え、レシピを重ねていく。

 一方、ジュリアもまた、料理によって、自分の才覚を発揮していく。
彼女は、その持前のパワーで、フランス料理の本を完成させていくのだ。

ジュリーもジュリアも、料理によって、
自分の道を切り開いていくが、その過程は、全く別なものであるように感じる。

 自分の力でレシピ本を作り上げたジュリアと、人のレシピを再現すること・・・他人の土俵で何とか・・のジュリー。
 本を作るという信念を持ち続けたジュリアの成功と、ブログという手段で、何となく広がったいったジュリーの成功。

 
映画では、ジュリアは、ジュリーのブログのことを不快に思っていると明言している。
その場面のフォローもないことから、
何となく、大きな問題が残されたように感じるが。

 2人の成功を比べたときに、
ジュリアがジュリーのことを知ったとき、不快に思う理由が何となく理解できるのだ。
 もちろん、私の推測に過ぎないが、
試行錯誤し、苦労してやっと出来上がったレシピ本。
それを、ただ再現しただけで、成功してしまったジュリー。
 ジュリアからしてみると、「私のレシピで、汗もかかずに成功を手にした」と思っても仕方がないと思うのだ。

  けれど、もし、この2人が面会し、話を交わした時、
そんな、わだかまりは、即座に解消されるんじゃないかと、そんな風に思うのだ。

 一方が、一方と不快に思っている・・・という構図の多くは、
どちらかに、肩入れしたくなるものだ。
 ところが、この作品は、どちらも嫌いにはなれない。

 一方が一方を不快に思っている・・というマイナスの要素が、
その映画の後味を悪くすることもあるが、
どちらかというと、「
「2人が会って話していたら、気の合う友人になっただろうにね」と運命の悪戯などと、
微笑ましい後味で終わるのだ。

 この不思議な作用は、
この作品の作り方にあると思う。

 全編を通じて、ジュリー夫妻が、純粋にジュリアを尊敬しているのを感じる。
そして、この映画製作人さえも、ジュリアに、一目置く描き方をしていると思うのだ。
 ジュリアとジュリーは、女性として、同等の扱いではなく、
ジュリアを常に上位とし、ジュリアの下に、ジュリーは存在しているという描き方をしているのだ。
 物語のはじまりも、終わりもジュリア。
ジュリアのレシピに、試行錯誤するジュリー。
 料理を通じて、道を切り開いてきた2人だけど、やはり、ジュリアあってのジュリーであるというベースが、この映画には、存在するのである。

 その溢れ出る尊敬の念が、この映画の素晴らしさであると、そう思う。

2人の関係性も良いが、
それぞれ夫婦の関係性も、とても好感が持てる。
 聡明で、一生懸命な妻を、常に愛しい視線で見守り、支えていく。
 夫を愛し、愛される。そんな2人の共通点も、羨ましい限りである。

 とにかく、愛らしい人物像で、
心がほんわかなることは、間違いない。

 勿体ないといえば、料理の美しいシーンが、割と少ないことだろうか。、
ジュリーの夫が、美味しそうに食べるシーンは、必見ではあるが、
 もっと、料理を作り出すシーンがあれば、この映画に更なる品格が
プラスされたように思う。

女性は、誰しも感じたことがあるのでは?
 なにをやっても中途半端。
目標もなく、何も生み出せない。
 極められない、自分の得意分野・・・・。

 ジュリーのように、ジュリアのように、
何かに打ち込めば、何かが変われるのかも知れないという期待と、
やり遂げられないという自信の無さと、
結局、変われないという不安。

 けれど、踏み出さなければ・・・。

それが、自分で生み出すものであったとしても。

先人の足跡を、辿るものであったとしても。

 
 踏み出した先にあるものは、今よりも、少なくとも輝いているはず。
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