いけ

ジュリー&ジュリアのいけのレビュー・感想・評価

ジュリー&ジュリア(2009年製作の映画)
4.0
あらすじを見て、この映画は自分の好みだなと思ったけど、その通りだった。

時空を超えてフランス料理のレシピを通じて繋がる2人の女性の話。
時代も環境も全く違うジュリアが50年前に書いたレシピ本を現代のジュリーが再現する。
ジュリーは911の被害者をサポートするコールセンターで働く公務員で、その職場は明るく描かれているけど相当な負荷がかかる仕事だと思う。しかも、その仕事が社会的に甘く見られているのも余計辛い。気が合わない女友達とのサラダ会は地獄のSATCみたいで笑ってしまった。挙げ句、友達のライターからは自分の境遇をロストジェネレーションのネタに扱われてしまう。

散々なジュリーが自分を取り戻すために始めたのが、ジュリアのレシピ再現を綴ったブログ。
そんなことに何の意味があるのかと周りに疑問視されても、そんなの関係ない。
これは自分のためのセラピーであり挑戦だから、その時点で意味があるだ!と突き進むジュリーが素敵だった。

自分も疲れている時こそ自炊をして、自炊自体が癒しになっている。
自分のために、自分の好きなものを作って食べることって最高のご自愛行為だと思う。

一方のジュリアも駐在妻になり、夢中になれるものを探す中で料理教室に出会い、男性だけの本格教室でメキメキと上達していく。
授業中メモを取るジュリアが、料理の知識だけではなく、先生の「料理は細かいことは気にせずに楽しむことが大事」という言葉を1人メモする姿が印象に残ってる。

ジュリーもジュリアも前向きでへこたれない性格で、出てくる料理も美味しそうな明るい雰囲気の映画だけど、細部には911のことや政治思想の話、人種差別などシリアスな題材を扱っているのが面白かった。

史実を元にしてるから仕方ないけど、ジュリーのブログをジュリアが良く思わなかったのは悲しかったな。なんでなんだろう。自分のレシピを再現してる若い人のブログなんて嬉しいに決まってるって思っちゃうけどな。
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