高橋早苗

ジュリー&ジュリアの高橋早苗のレビュー・感想・評価

ジュリー&ジュリア(2009年製作の映画)
3.5
1960年代にフランス料理本を出版
TV出演で人気となった
料理研究家と


その料理本と彼女の番組で育った女性が
『Mastering the Art of French Cooking』(フランス料理の極意)全レシピを
365日でつくり、ブログに綴った


ジュリア・チャイルドと
ジュリー・パウエル
二人の実話を基にした作品



作家になる夢を諦め 派遣OLとして働くジュリー
結婚したばかりで旦那とはラブラブだけど
友人たちと会うと つい皆と比べて落ち込んでしまう…


ブログを始めたのも 友人たちを見返してやりたい
なんて結構単純な動機


実家から持ってきた本は 枕にもなりそうな厚さ
全526のレシピを 365日で再現
ブログにUPし始める


初めは 実家の母親しか見ていない(!)と思われたブログも
徐々にファンがつき始め コメントが書き込まれ
小包で食材や調味料が 届いたりするように


やがて ブログランキング1位を獲得
有名出版社にも取り上げられ 取材の電話が殺到する

喜ぶジュリーをよそに
留守電に あるメッセージが


ジュリーのブログに対する
ジュリア・チャイルド本人のコメントが 第三者経由で寄せられたもの

密かに ジュリア本人と会えることも 期待していたジュリー
「ジュリアに嫌われた」と彼女は塞ぎ込む


自分で決めて、自分で始めたことなのに。
ジュリーが フォロワー側に立った瞬間。


この映画、見る人によって、目に留めるところが違うので
反応がすごく別れる映画だなぁ、と感じる

料理が沢山出てくるが 料理では魅せないし

ジュリーのブログは 写真もなく言葉で綴られる
食べるシーンもちょっとだけ


ジュリアのパリ時代
料理に目覚めてから レシピ本出版までの話が語られる
けども フランス料理の素晴らしさを 映像の中で語っている
…わけでもない。


ジュリーは、周囲から
ジュリアのレシピを再現することと、ブログについて
「それ、意味あるの?」と問いかけられます
それに追い打ちをかけるように届く、ジュリアのコメント

塞ぎ込み 止まってしまうブログ更新
それでも彼女は 初志貫徹することで
ジュリアへの想いを全うする

そもそも、ジュリア本人に会うことが目的ではなかったのだから。


全526レシピをつくり ブログ更新を終えて
スミソニアン博物館に再現されている
ジュリア・チャイルドのキッチンを見に行くジュリー


周りばかりを見て ダメな自分に落ち込んで
できるところを見せたくて ブログ始めて。


やり遂げた彼女には ジュリアのキッチンも
また違った景色に見えたはず。
彼女の中の 小さな成功ストーリー。


…みんな、成功したくて
誰かを選んで、なぞって、学んでいく

凹んだり、泣いたり、八つ当たりしたり…
それでも やめずに進んでいくと


師と仰ぐ人の 成功ストーリーから
他の誰でもない 自分自身の成功ストーリーへ
変わる瞬間が 必ず来る

そんな、フォロワーがフォロワーじゃなくなった瞬間を
ラストシーンに見た私^_^
高橋早苗

高橋早苗