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ラブゴーゴーのakrutmのレビュー・感想・評価

ラブゴーゴー(1997年製作の映画)
4.1
台北を舞台に、都会に暮らす冴えないけどどこか憎めない若者たちの現実をユーモラスに描いた、チェン・ユーシュン監督のコメディ・ドラマ映画。『熱帯魚』で長編デビューしたチェン・ユーシュン監督の第二作目にあたり、この二作は高い評価を受け、台湾ニューシネマの将来を担う人物として注目された。しかし、台湾の映画業界への不満から、このあと13年ほど映画を離れ、テレビCMの製作に携わっていた。

本作では3人の男女 ーパン職人でパン屋に勤めている男性、彼とルームシェアしているOLの女性、防護グッズのセールスマンの男性ー の何気ない日常が群像劇として描かれている。でも、全く別々の話ではなく、すべてのエピソードは周囲の人物を介してつながっている。この映画を見て感じるのは、とにかくキャラが立ちまくっている点である。3人目のセールスマンはそれほどではないが、パン職人の男性の風貌や話し方は、いかにも漫画にそのまま出てきそうな感じの冴えないキャラは印象に残る。また、ジャイ子のような風貌の、どこにでもいそうな少し太っちょの女性キャラも好感がもてる。仕草や行動のひとつひとつが微笑ましい。最後のバーガーキングでのヤケ食いも気持ちがよくわかる。そんな若者たちを見ているだけで、どこか心暖まるような気がする素敵な映画である。

本映画では、そんな彼らや彼女らの他に、パン職人と同級生の綺麗な女性がマドンナ役(でも彼女も悩みを抱えているが)として出てくる。この役を演じたのが、タン・ナという台湾の歌手。彼女は1988年にCBS/SONYの「アジア・インターナショナル歌手オーディション」に台湾代表として出場し、見事にグランプリを獲得。サイ・ピーホアという名前で「愛よ眠れ」で日本デビューしている。この曲だけで日本からは撤退したようだが、台湾では歌手や女優としてずっと活躍している。
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