藻尾井逞育

ラブゴーゴーの藻尾井逞育のレビュー・感想・評価

ラブゴーゴー(1997年製作の映画)
4.5
「勇気を持てと言ったね。僕のような平凡な男にとっては大きな挑戦だ。」
「会えてよかった。彼女は僕なんか忘れたかも。でも僕の地図には知り合いが1人増えた。」

台北を舞台に個性豊かな複数の男女が織りなす不器用な恋愛模様をポップに描いたラブコメディです。その恋愛もまだ恋とは言えない、始まったばかりの「恋の予感」といった感じです。冴えないケーキ職人、ちょっと太めな女の子、内気なセールスマン、と本作に登場する人たちはみな魅力的で、思わず誰かに感情移入してしまいます⁈チェン・ユーシェン監督の彼らを見る目はどこまでも優しく、たとえ恋人にはなれなくても相手が幸せでいてほしい、という人を好きになった時の喜びと切ない悲しみが同居する気持ちがひしひしと伝わってきました。同級生だった初恋の相手を演じた堂娜(タン・ナ)さんの泣き笑いの演技に胸がキュンとしました。恋ってレモンパイのように甘くて酸っぱいものですよね。最後、また新しい恋の予感を感じさせる演出に、監督の優しさ、人生応援歌を感じます。
この映画ではポケベルが重要な役割を果たしますが、ポケベルの普及していた時期ってものすごく短い間でしたよね。当時私も会社で外回りするようになり、会社からポケベルを有無を言わさず持たされました。そんな時代の空気感もこの映画の魅力です。

2024/04/03
台湾加油!