2級ハカセ

ラブゴーゴーの2級ハカセのレビュー・感想・評価

ラブゴーゴー(1997年製作の映画)
3.8
台湾巨匠傑作選2023 K’s cinemaにて鑑賞
ホウ・シャオシェンやエドワード・ヤンなど社会的テーマを描く監督たちと違い、チェン・ユーシュンは心優しい台湾のごく普通の情景を描く監督と思います。本作は台北という都会において、どこにでもいそうな普通でちょっと不器用な人々が寄り添いながら不器用なりに生きていくコメディータッチのドラマです。

本作キャステングについては凄く味のある俳優さんを使っているなと思いました。特にパン職人のアシェン(チェン・ジンシン)はそのかっこ悪さが実に素晴らしいです。監督いわく、美しい恋は外見ではなく人間の心の内にあるからとのキャスティングだそうです。少し気になったのがリーホア(タン・ナ)終始足を引きずっていた演出、何か意図があるのかと調べたところ、監督の過去のインタビューで「20年も会っていない同級生足を引きずることで彼女の過去にも色んなことがあった」ということを表現したかったのだそうです。

監督の作品は1作目「熱帯魚」でも共通していますが、間違いや失敗があっても必ず助ける人がでてきて、それが支えとなって少しずつ成長していく、そんな物語を描きたいのだと思いました。
本作けっして派手さもずば抜けて爽快感がある訳でも無いけど、不器用に生きている人たちの背中を押してくれる実に後味の良い作品でした。
2級ハカセ

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