佐藤克巳

まごころの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

まごころ(1939年製作の映画)
5.0
成瀬巳喜男監督のタイトル通りのまごころ籠った愛情物語の小品だが稀に見る傑作。和製テンプルちゃんの悦ちゃんと加藤照子の小学6年生の爽やかな友情と、悦ちゃん家族の父高田稔、母村瀬幸子と、加藤の家族の母入江たか子、祖母藤間房子の因縁深からぬ関係に揺らぐ乙女心。高田と入江は縁戚関係にあったが故に引く手数多の入江は貧しい酒呑の所に嫁入り、高田は資産家娘村瀬に婿入りしたが、加藤が幼い頃に入江の夫が亡くなり家に戻った。1学期末成績が1番だった悦ちゃんが10番になり加藤が1番だった事から、村瀬が高田と口論になり、それを隣の寝間で悦ちゃんが聞き耳立て、女学校で加藤に、高田と入江が恋仲であったと伝える。加藤は藤間から父の真相を聞かされ、川辺りで気を紛らしていたら、慰める悦ちゃんが足の裏に傷を負い駆け付けた入江は高田と再会する。高田はお礼にお人形を贈ると、加藤が返しに来る。悦ちゃんは引き摺る足でお人形を持って加藤の家に。高田は戦地に赴き、入江と村瀬はお互いを理解し合った。日本人が最も日本人らしかった時代のお話。
佐藤克巳

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