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マイ・ブラザーのkuuのレビュー・感想・評価

マイ・ブラザー(2009年製作の映画)
4.0
『マイ・ブラザー』
原題 BROTHERS
製作年2009年。2010/06/04日本上映。
上映時間105分。
デンマーク映画『ある愛の風景』、デンマーク映画『Brødre』(2004)のアメリカ版リメイクを、トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマンらの豪華共演でリメイクした家族ドラマ。
当初、ジェイク・ギレンホールはサム役を、トビー・マグワイアはトミー役を希望していた。
しかし、ジム・シェリダンは、マグワイアが "悪い "兄を演じるには説得力が足りないと感じ、2人は役を交代したそう。
巧いキャスティング。
秘密を抱えた元兵士の男と妻、そして二人の娘に男の弟を巻き込んで、家族の崩壊と再生を情感豊かにつづる。
監督は『マイ・レフトフット』『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』などのジム・シェリダン。
戦争のもたらすあらゆる悲劇と家族のきずなが胸を打つ珠玉の感動作。

アフガニスタンで兵役に当たっている夫・サム(トビー・マグワイア)の帰りを待つグレース(ナタリー・ポートマン)の元に、サムの訃報が届く。
絶望のふちにいるグレースと二人の娘を慰めてくれたのは、サムの弟、トミー(ジェイク・ギレンホール)だった。
そんなある日、まさかの帰還をしたサムだったが、まるで別人のように変ぼうしていて。。。

トビー・マグワイアは今作品のため、5週間で体重を20キロ落とし、摂取カロリーを1日わずか1200キロに抑えた。
彼はその極端なダイエットに気づき、頻繁にめまいを起こした。
今、小生も自己実験の為(落とす必要性はないのですが、あくまでも痩せる難しさを知りたいため)、体重を落としてる。
トビー・マグワイアと同じような摂取カロリーで10日で5キロ減量してるが、かなり過酷に感じてる。
そんな、過酷さが、今作品のトビー・マグワイアの演技を通し共感し彼に役者魂に驚かされた。
正直、今作品に惹かれたのは、ジェイク・ギレンホールとナタリー・ポートマンちゅう、それぞれに驚異的な俳優が出演していたからでした。
この映画を見るにあたって唯一期待していたのは、トビー・マグワイアの印象は薄いだろうということやった。
スパイダーマンを含む何本かの映画で彼を見てきたが、彼の素晴らしい演技には心の準備(迫真)ができていなかったと云わざるを得ない。
今作品はとてもシンプルだった。
派手さはなく、特殊効果もなく、サウンドトラックとしてシンプルなギター音楽が少量流れるだけ。
しかし、冒頭からジェットコースターのような感情が伝わってきた。
ジェイク・ギレンホールが演じるキャラの成長、
ナタリー・ポートマンが見せる苦悩、
トビー・マグワイアが見せる手に取るような痛みと苦しみ、
そして、8歳のベイリー・マディソンが見せる恐怖と怒り、これらすべてが組み合わさって、非常に手に汗握る物語となっている。
今作品を反戦映画とみなすのは否めない。
しかし、兵士たちは戦場での英雄的行為については賞賛されるが(それは完全に当然である)、彼らが肉体的、精神的に受ける傷は軽視されることがあまりにも多い。
今作品は、従軍兵士の精神的健康という非常に現実的な問題と、それが家族の力学に引き起こす問題を描いていた。
今作品は、魂を打ち砕かれるような、しかし、可能な限り良い意味での映画だ。
似たような作品は最近見ていなかったので、これほど深みのあるストーリーと登場人物を見るのはまったく新鮮でした。
筋書きについては、すべてを語らずに、先にも書いたあらすじ以上語ることはできない。
ただ云えるのは、終盤のサプライズは予想外だったということ。
予告では、今作品がグレースとトミーの不倫について描かれているように見せていたが、人生における多くの事柄と同様、実際はまったく別のことが描かれていた。
それを秘密にしていたのか、マーケティング・チームに敬意を表したい。
今作品において、家族の力学も飲み込むのが大変やった。
息子たちの父親ハンク(サム・シェパード)はサムに絶対的な好意を示し、"ダメ "な息子トミーを完全に軽蔑する。
この反感は家族内に深く浸透し、イザベルは何でも手に入る、みんなに愛される妹のマギーを軽蔑するようになる。
イザベルが夕食の席で、傷ついたあまり父親に暴言を吐いたとき、事態はラストへと向かっていく。
このような力学と、さらに根底にある力学が物語を進行させ、今作品をキャラ主導の映画にしている。
は『楽しむ』という言葉を使うにはあまりにも心が痛むが、素晴らしい体験をしました。
素直な感情を感じ、この物語に完璧に飲み込まれた。
ジム・シェリダン監督は自分の仕事をよくやったと思う。
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