結局カレー

青い春の結局カレーのレビュー・感想・評価

青い春(2001年製作の映画)
3.3
青い春。恋とか部活とかそういうものに情熱を注いだのだって青春だけど、やっぱり青春というものは青臭く、痛々しく、無知で馬鹿馬鹿しいものだと思う。そして生きてることを実感する時でもある。

高校三年生は青春の終わりでもある。そのときに青春を謳歌する者もいれば、衝動に駆られて罪を背負う者もいて、自分の人生をも終える者もいる。中でも青春に縋りつくような青木はすごく胸に残ってる。九条と出会ってずっと友達として付き合ってきたのに、九条は番長になって。いつしか対等だと思ってた関係が九条が上、自分が下になってしまった寂しさと悔しさ。どうにか追いつこうと関係を保とうと湧き立つ感情も伏せて九条についていっていたのにも関わらず、ある日九条が突然この毎日に飽きたかのように真面目に授業を受けるようになる。そのときの九条の視界から自分が消えたような虚無感や孤独、仲間意識がとびきり強いこの頃ってとてつもない絶望感に結びついちゃうのよな。自分の高く伸びた影を、九条が机に書いた絵に準えて塗りつぶす。九条が8回叩いたあの屋上で、青木は13回叩いて落ちてった。あの屋上の扉を開かなければ今も変わらない日々が続いてたんじゃないかってやるせなさ。最後に流れたミッシェルのドロップが青春の荒削りな感情を掻き立てるようでブッ刺さった。

松田龍平は初主演作にして「松田龍平」を確立してるなぁ。なぜかこの人どの作品でもバリバリの松田龍平感満載でとても演技派とは言えない気がするけど、圧倒的な存在感と唯一無二の雰囲気がある。松田龍平なくしてこの作品はあらず、という感じだった。

青春は「エモい」なんて片付けられないものだったよな。