このレビューはネタバレを含みます
青春って憧れるけど果てしなく怖い
もう観たくないとまた観たいとずっと観ていたいがめちゃくちゃになった。
卒業を目前に控えた高校生たちの生き方が爽快に、それでいて惨たらしく描かれる
「何かにならなければいけない」という見えない焦りは、学生時代の区切り毎に訪れる。そんな焦りの最中に立たされた人は少なくないだろう。
だからこそ彼らの行動の一つ一つが、突飛だが何故かその理由がわかる気がする。きっとこの映画を観た自分が高校生だったなら、同じような世界を見てみたいと多少なりとも感じたはずだろう。
フィクションのはずなのに近い日常のように感じる。
それはこの映画から溢れる「青春」のリアリティだ。
個人的には雪男(高岡奏輔)が血溜まりの中で煙草を吸っているときに流れる、「雪男くんは大人になったら、何になりたいの?」という言葉が物語を表す大きなテーマのようになっていると感じる。
内容的には原作の漫画『青い春』に収録された短編のいくつかを一つに纏めたような構成だが、纏め方もかなり綺麗で自然。
耽美的で気怠げな雰囲気を極限まで高めたような映画だった。
真っ黒になった学校に1人残された九條は何を思うんだろうか。
青春の抱く爽やかなまでの恐ろしさを観たい人は是非鑑賞して欲しい。