Maoryu002

狼たちの午後のMaoryu002のレビュー・感想・評価

狼たちの午後(1975年製作の映画)
4.1
真夏のニューヨークでソニー(アル・パチーノ)は相棒のサル(ジョン・カザール)とともに銀行に押し入るが、手際が悪くあっという間に警官隊に囲まれる。しかし、そのパフォーマンスでソニーは人気者になり、人質とともに脱出を図るが、冷静なFBIによってサルは射殺され、ソニーは逮捕される。

シドニー・ルメット監督らしい社会派ドラマ。
いきなり強盗する仲間が怖気づいて地下鉄で帰っちゃったり、人質に「私たちいつ帰れる?」って普通に聞かれちゃったりと、その間抜けぶりは笑いを誘う。
そんな感じでソニーは頭がいいわけでもないのに、民衆とマスコミに煽られ、人質にも恵まれてしまったために深みにはまって行ってしまう。

なんとなく緩い雰囲気の人質事件の末には、やはり悲劇的結末が待っているのだ。この終わり方、この後味こそが1970年代の映画独特の味だ。

「スケアクロウ」「セルピコ」と本作とで、勝手にアル・パチーノのアメリカン・ニューシネマ3部作と呼んでいるが、この映画のラストの虚しさは凄い。何かを暗示しているようで、淡々と出来事を映像化しているようにも見える。
映画としての娯楽性がどうというより、この映画自体が時代の象徴のように感じた。

ジョン・カザール演じるサルは、ある意味パチーノ演じるソニーに殺された言えるだろう。そう考えると、ゴッドファーザーに続いて、またカザールはパチーノに殺されたということか…
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