ダイナ

狼たちの午後のダイナのレビュー・感想・評価

狼たちの午後(1975年製作の映画)
4.3
実際の銀行強盗事件を題材としたアル・パチーノ主演のクライムドラマ。冷徹キャラもいいけどもやはりスカーフェイスやヒートのような野生感溢れる男が似合います。そしてなぜか強盗仲間の男が気になる。危険な雰囲気を醸すおでこが目立つ特徴的な男。…ゴッドファーザーのフレドじゃん!!!そう、仲間の男「サル」演じるのはジョン・カザール。何を隠そう「ゴッドファーザー」でマイケル(アル・パチーノ)の兄弟フレド役を演じたのがジョン。「ゴッドファーザーPARTⅡ」が1974年で本作が1975年公開の位置。本作単体でも面白いですが、「PARTⅡ」を観てからだと2人が演じる役の違いと関係性の違いにニヤリとできます。

強盗と警官達の衝突、人質の中には衰弱する者の一方で状況を楽しんだりする者もいて様々。銃パフォーマンス練習とか喘ぎ真似シーンなんかはクスッと来ます。また強盗の過剰なパフォーマンスに沸く民衆、事件が一種のイベントのように消費される様子が描かれていて面白いです。実際の強盗事件→それで狂喜する民衆→それを映画化・観る我々、という俯瞰で見るとなんともマトリョシカ。事件をイベントとして楽しんでいる人を全面的に非難はできまい。

寝癖みたいな髪型で登場するアル・パチーノは流石の二枚目でも微妙にダサく見えますが、舞台が夏ということで、時間が経つにつれ湿度を纏い乱れて滅茶苦茶カッコ良くなるのでヨシ。(撮影時期は冬だったそうな)そしてパチーノ&カザールコンビのやり取り、ソニーの思惑に周囲が揺らされ、転がる展開も面白かったです。作中になぞらえて今の時期に汗をかきながら鑑賞すると没入感がありますねぇ。
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