アゴ

狼たちの午後のアゴのレビュー・感想・評価

狼たちの午後(1975年製作の映画)
4.2
犯罪者の生活環境を知りたがってしまう。そういう下衆な部分がどうしても自分にはあって、表面上、SNSなんかではそんなくだらないこと知ってどうするの、なんて体面で飾っているんだけれど、心のどこかにある。知ってどうするのか、自分でも分からないんだけれど。どうせ3日も経てば忘れるのに、ニュースキャスターの語る言葉を聞いて、同情したり見下したりする。実在の彼らをフィクションとして消費しているのかもしれない。

主人公は銀行強盗の主犯だ。どうしてそんな馬鹿な真似をしようとしたのか。
理由が徐々に明かされていく。それは報道の力によって、だ。
ほっといてくれ、と叫んでメディアを糾弾する訳でもない。どうしようもない自分の生き方を認めている主人公は、知れば知るほどやはり魅力的に見えてしまう。
銀行強盗という犯罪に及んだのは正しくはなかったし、応援しようとも思えない、そもそも見始めた時点で成功するとも思えない彼ら。ただ、どんな生き方をして、どう考えてこの犯罪に及んだのか、それが知りたくなってしまう。知ったからといって、何にもならないのにね。
実話を元にしているというから驚きである。
銀行内がなんだか楽しそうで、やはり彼らは悪事に向いてなかったなと思う。
とにかくアル・パチーノの熱のある演技が最高だった。
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