レイモンド

エクソシストのレイモンドのネタバレレビュー・内容・結末

エクソシスト(1973年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ゴリゴリのパニックホラームービーを想定していたら、陰鬱で救いのない世界を描くことに焦点を当てて時間を使ってたのでイメージとは違った。けど、割と面白かった。

神父の母親は足を痛めて出歩くのも難しいがスラム街から引っ越すこともできずに孤独に暮らして最終的には精神病棟で手足を固定されて息子が誰かも分からなくなり死んだ。
そんな母親の死に目にも神父は自分の生活のことがあり会えなかった。
街を歩けば駅にはホームレスがいて恵みを求めてる。一方で、金持ちの家では誕生日パーティーが行われている。しかし、そんな幸せのど真ん中でも、差別的な言葉が飛び交っているし、主役の少女が会いたいと望む父親は母親と不仲で電話口で暴言を吐き合っている。人々の心を救うのは宗教ではなく精神医療で、それで救われる人もいる一方で救われない人たちはなにもない病室に集団で押し込められてベットで寝ることしかできない。
ほんとに神っているのかよと言いたくなるぐらいにひどい現実が街にはあり民衆の信仰心は薄れてる。

神父と悪魔の戦いは、そんな世界でも救いはあるはずだと信じたいという希望をかけた戦いのように思えた。

悪魔に憑かれた娘が医者をたらい回しになって家族で疲弊していくシーンでは、「悪魔」という非現実的な形式を取っているが、現実世界でも医療を持ってしても救うことのできない人はいて、そうした人たちの救われ無さを重ねて見ていた。