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エクソシストのnoteのネタバレレビュー・内容・結末

エクソシスト(1973年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

悪魔が憑依した少女を二人の神父が命を懸けて「悪魔祓い」に挑む。
実話「メリーランド悪魔憑き事件」をモデルにしたオカルトホラー映画の原点にして頂点。
病気を疑って受ける医療検査の淡々とした描写、人物や霊現象を空間の隅から撮影するカメラが、あたかもその現場に居合わせたかようなドキュメンタリータッチで現実感のある恐怖を煽る。
少女が醜く変貌する特撮と悪魔に侵された言動はアナログな撮影だが、実物を駆使した生の迫力は、今見ても充分に素晴らしい。
特にラストの神父と悪魔の闘いは凄まじく、一体どんな演技指導をしたら、あのような映像が撮れるのか?
悪魔の顔のサブリミナル効果も鑑賞後に記憶に残り、ウィリアム・フリードキン監督の並々ならぬ才能が伺える。

悪魔との運命的な対決を予感し、決意の下に戦うメリン神父。
年老いた母親を孤独のうちに死なせ、心に罪悪感のあるカラス神父。
メリン神父が殺され、悪魔の勝利を予感するが、カラス神父が悪魔を自分に取り憑かせて自殺することで少女を悪魔から救う。
母親の孤独死の罪滅ぼしともいうべきカラス神父の自己犠牲に、ようやく神が答えたのか、悪魔は去り、少女は救われる。
悪魔が去った後の少女の可憐さは、直前までとはもの凄いギャップがあり、まるで全てが夢だったかのような気にさえさせる。

本作は悪魔が実在すると思わせるが、祈りや聖水で悪魔が苦しむことで、逆説的に神の実在をも肯定している。
また見る者の家族観、死生観、宗教観が問われるドラマにもなっている。
そして宗教音楽のように静かに流れてくるあの有名なBGMもまた怖さを倍増して素晴らしい。
本作はオカルト映画のジャンルを確立した大きな意義のある名作だ。
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