チッコーネ

ブラザーフッドのチッコーネのレビュー・感想・評価

ブラザーフッド(2004年製作の映画)
4.0
兄と弟の歩みを通し、朝鮮戦争の行方を追う壮大な映画。
超大作を経験済みの監督ゆえ、全編を通し世界水準のクオリティを保証、残虐で凄惨な戦闘/暴力場面はやや多過ぎるほどだった。
爆破を伴うロケ現場で、役者と共に躍動するカメラの迫力がとにかくすごい。

また「日本統治という屈辱の歴史」を持ちながら、独立後間もなく、内戦という惨状を露呈した自国の暗部を堂々と曝け出す、韓国の強さが潔い。
「戦争の渦中に敵軍に翻る」という行動でさえ、リアルに観えてくるのだ。
主演2人が戦場で相見えるクライマックスは物語上の設定を超え「白目を剝きながら殺し合う、元同胞の悲しい運命」を暗喩するに十分。
それも自由な社会を謳歌する現在があればこその表現で「過去の悲惨を次世代に伝えることなど、夢のまた夢」という国家に成り果ててしまうようでは…、改めて独裁に喘ぐ北朝鮮の人々の苦しみが想起された。

初代韓国四天王のうち、ふたりも登場するキャスティングが豪華。
揃って美形の彼らが、殺伐とした画面を華やかにしてくれる。
特にウォンビンはやや一本調子なものの、生々しく魅力的な演技を披露…、現在ほぼ引退状態なのは、やはり惜しいと思わせる存在。
ミンシク先生は本当にチラッと出てくるだけ、撮影は恐らく1日程度、クローズアップもなしのカメオだった。