KnightsofOdessa

アスファルトのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

アスファルト(1929年製作の映画)
3.0
[女強盗の必死過ぎる抵抗] 60点

アスファルトを踏み固めるリズムでタイトルが登場するという粋な冒頭から既に楽しい。警部の息子で自身も交通課で交通整理に励むアルバートは宝石強盗の現場に居合わせ、彼女を警察署に送り届けようとするが、泣き落としに引っかかってしまう。アルバートが優男であることを早々に見抜いた女は、嘘泣きで顔を隠しながらしっかりメイクを直し、とても先程まで"明日までに家賃払わないと追い出される"と言っていたとは思えないほど広いマンションに"せめて身分証だけでも家から取ってきたい"と連れ込み、"疲れたから寝る"と言ってベッドに潜り込んだかと思えば、応援を呼ぼうとしたアルバートに掴みかかって絡みついて誘惑し、そのまま彼を追い返すのだ。この必死過ぎる抵抗、或いはなし崩し的な見逃しのギャグセンスは実に高いが、実はこの女、諢名が付くほど有名なダイヤ強盗だった。にしては結構ギリギリだったが、結果オーライってことで。

以降は、なぜかアルバートに惚れた女強盗と、ベルリンに帰ってきたその情夫の三角関係という急展開。後半は全体的に釈然としないまま駆け抜けた感じがして勿体ない。警部の息子となれば素行不良をもみ消してもらうと相場は決まってるのだが、アルバートくんは優しすぎるし正義漢という点を面白がればいいんだろう。知らんけど。

女強盗の髪型がフラッパーっぽいのは当時の流行なんだろうか。
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