CANACO

スカーフェイスのCANACOのネタバレレビュー・内容・結末

スカーフェイス(1983年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

1983-1984年公開のブライアン・デ・パルマ監督、オリバー・ストーン脚本作品。1932年公開のハワード・ホークス監督作品『暗黒街の顔役』のリメイクだが、オリジナルの92分に対して、こちらは170分の大作。

主演アル・パチーノ、助演ミシェル・ファイファー。1980年代の初頭に、フィディル・カストロが率いるキューバから亡命し、アメリカのフロリダ州マイアミで成り上がっていく男の物語。実際に起きた出来事を背景にオリバーが脚色している。
物語のプロットは『暗黒街の顔役』と同じだが、シノギはコカインとウイスキーに変更。右腕役は変わらず男前だが、名前はリナルドからマニー・リベラに変更。コイントスはしない。

終始ハイテンションで、終盤のコカイン大量摂取シーンはコントにも見えるアル・パチーノ演じるトニー。こんなにイカれてるアル・パチーノを見たことがなかった。
ギャングの盛者必衰を描いた作品だが、『暗黒街の顔役』をド派手にデフォルメしているため、結果として「トニーいけてる」とラッパーに評価されたり、「Scarface: The World is Yours」というXboxゲームにまでなっちゃったりとカリスマ化してるのは微笑。

彼が終盤にドンパチやる直前に放つ「You wanna play rough? Say hello to my little friend!」という一言は、映画史に残る名台詞となっているらしい(下ネタとロケットランチャーを引っ掛けてる)。

ミシェル・ファイファー演じる、終始全然楽しそうじゃないフランクの妾・エルヴィラの儚さも印象的。
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[暗黒街の顔役と共通]
邪道とはいえ、マシンガン片手に裸一貫で成り上がるまでのサクセスストーリーと、後半のドラマチックかつクレイジーに崩壊していく様との強いコントラストが刺さる。
そこに輝く"The World is Yours"という言葉は黄金のバッヂのようで、野心のままに生きて散った野獣に向けた献花にも見える。

アル・カポネをイメージして作られた作品だが脚色も多い。妹への近親相姦的な思いは、イタリア・ルネサンス期に実在した政治家・チェーザレ・ボルジアの一面を使ったという。ボルジアもまた権謀と冷酷な手段でイタリア統一を図った人物らしい。
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やはり終盤の、犯してはならない過ちのシーンは秀逸。エピソードてんこ盛りで、170分飽きずに観ることができた。
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