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アンドレイ・ルブリョフ 動乱そして沈黙(第一部) 試練そして復活(第二部)のmmntmrのレビュー・感想・評価

4.8
アンドレイ・ルブリョフというイコン画家の半生を10章に分け、芸術がどのように人間の上に立ち現れるのかを描いた本作。

後半の第二部で描かれる大鐘造りの一連の流れは圧巻だった。背水の陣となった青年ボリスの、生にしがみつく眼差しと根気、そして職人としての尊厳と力強さが濃密に描かれており、その姿には刺激を受けずに居られない。

アンドレイ・タルコフスキー監督はこの大鐘造りを「芸術に対する私の関わり方を、そしてこの映画における創造の役割についても明らかにしている」と述べるが、全くその言葉にふさわしい出来栄えであったと思う。

記憶に刻み込むような洗練されたショットも多く、三時間という長めの作品ではあるが、全く見劣りも飽きもしなかった。

何度でも見返したいと思える大傑作。こんな大作をデビューから三作品目で撮ってしまうタルコフスキー監督はやはり巨匠という名に相応しい。

この『アンドレイ・ルブリョフ』から先の作品で、タルコフスキー監督は自らの手法を確立したのだと判った。
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