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紅の翼の一人旅のレビュー・感想・評価

紅の翼(1954年製作の映画)
4.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ウィリアム・A・ウェルマン監督作。

エンジントラブルが発生した旅客機の乗員乗客が辿る運命を描いた航空パニック。

ジョン・ウェインが自身の独立プロで制作した、上映時間2時間半の航空パニック大作。『男の叫び』(53)や『不時着』(64)の原作者として知られ、元パイロットという異色の経歴を持つ米国人作家:アーネスト・K・ガンの同名小説を、航空物を得意とするウィリアム・A・ウェルマン監督が映像化したもの。

ホノルルからサンフランシスコに向かう旅客機にエンジントラブルが発生するという航空パニック物の元祖で、ジョン・ウェイン演じる飛行機事故で妻子を亡くした副操縦士ら5人の乗員と、様々に事情を抱えた乗客達の運命を描いています。

自身が操縦する旅客機で事故を起こし妻子を死なせてしまった訳あり副操縦士を始め、熱々のハネムーンカップル、愛情の冷めた資産家夫婦、不運続きの楽天家夫婦、子沢山の漁師、アジア人女性、老いを恐れる厚化粧の女性、銃を隠し持った中年男、ミサイル研究者の男、小さな男の子―と、それぞれに事情を抱えた乗客達の姿を回想シーンを交えつつ「グランドホテル形式」に描いていきながら、やがて発生するエンジントラブルで窮地に陥った乗員乗客の必死の生還劇を活写しています。

乗員乗客の人間ドラマに結構な時間を割いた、やや冗長とも言える大作映画ですが(通常の航空パニック物なら90分が相場)、エンジントラブル発生直後の機内のパニックや、“海への不時着”か“燃料節約で空港を目指す”か―という二つの選択に迫られるパイロット達の葛藤と決断がスリリングに活写されていますし、主演のジョン・ウェインが心に哀しみを湛えた副操縦士を冷静沈着に演じています。
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